Q 整理かたづけ業者の方にお支払いする経費は税務上どのような取扱いをしますか?
A 負担される場面によって下記のように取扱いがかわってきます。
必要経費に算入される場面は、極めて限定的ではありますが、判断のために、遺品整理士が発行する、マニュフェストや整理・廃棄状況報告書等控えをご持参ください。必要経費の可否あるいは、債務控除の可否を税理士が判断します。
所得税 不動産所得の確定申告における必要経費性
残置物を残したままで不動産物件を購入し、かたづけ整理をした建物を賃貸不動産として貸し出すような場合には、そのかたづけ整理費用は必要経費になるといえます。所得税法37条では、必要経費に対する取り決めは、「総収入金額にかかる売上原価その他当該総収入金額を得るために直接要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用…」とされており、遺品整理の必要経費性を考える際には、特に直接要した経費というところが重要になってきます。
さらに一歩踏み込み、親族が所有する居住の用に供されていた不動産を相続して賃貸不動産として利用するというような場合、その際のかたづけ整理費用はどのように考えるべきでしょうか。家事費と考えるのが一般的ではないでしょうか。類似の判例について検討してみると、建物の取り壊し費用の必要経費性が争われた判例があり、この場合は建物の取壊し目的が争点となって必要経費として認められるかという判断がなされています。遺品整理費用等の必要経費性についても同様に、遺品整理が行われた目的がどのようなものかということで、考えてよいのではないかと考えます。例えば、長年遺品整理を怠っており、賃貸用不動産として利用を考えた際に遺品整理を行う等遺品整理を極めて事務的に行う等、そのような支出の目的(残念なことではありますが)である場合には、必要経費として考えるのではないでしょうか。
かたづけ整理費用の目的がどのようなものであったか?ということが、重要になってくるということが言えるのでありますが、現在、まだまだこの遺品整理等の費用の不動産所得課税標準の計算に関する必要経費性の解釈については、整備不十分と言わざるを得ないというのが現在のところではないでしょうか。個別的な状況に則して判断せねばならないというのが現状です。
必要経費性を立証するためには、個々の置かれている状況を詳細に説明するために、遺品整理士から預かられた、マニュフェストや納品書及び整理状況説明書カルテなどが有効な書類となります。
所得税 譲渡所得 不動産の譲渡を行った場合
この場合についても、状況に応じて必要経費性を検討すべきところであります。
建物の売却時の譲渡所得の計算時には、必要経費については極めて限定的に解するべきであり、譲渡のために直接要した費用ということとなるため、どのような経費でも支払ったからと言って必要経費として認められるわけではありません。
特に遺品整理費用の必要経費性については、不動産売買契約書の文言をよくチェックしておくべきでしょう。
この場合、残置物の撤去について事前に売買契約書で特約条項があり、瑕疵があった場合には、買主から違約金の請求がある等の文言が入っている場合、譲渡価格に影響があったものとしてとらえるのか?それともあくまでも代金の精算に関して違約金が支払われただけで収入が減少したととらえるか否かで解釈が変わってくると理解してよいのではないかと考えます。
相続税 債務に関する相続財産からの控除
被相続人が亡くなられてから負担する遺品整理費用については、相続税の計算において、債務控除できる費用には入りません。
ただし、施設等に入居前に整理かたづけ費用などが発生し、既にその債務の支払いが確定している段階で亡くなられ、債務が相続時点で確定しているような場合には、かたづけ整理費用等が債務控除の対象になるということは言えます。
最後に、遺品整理士は、かたづけ整理に関する費用の発生状況について整理、記録を渡すことになっています。その際のマニュフェストや、状況説明書やカルテを事務所にお持ちくだされば必要経費性、債務控除性を判断させていただきます。
高橋利典税理士事務所 遺品整理 提携会社
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株式会社 おちこち
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