一般市民に最も身近な法律「民法」が制定以来 120年ぶりの大改正により、大きく様変わりしています。改正後の民法は平成32年4月頃からの施行となります。
民法改正の内容については大まかに下記の内容となります。
租税に関する法律については、民法の概念を借用している場合が多いため、民法の改正が租税実務に対して与える影響は大きいことに間違いありません。
今回の改正民法については、下記の内容が改正されています。
*個人保証の制限
*消滅時効の統一
*商品等に瑕疵があった場合のルールの変更
*不動産賃貸業に影響を及ぼす諸改正
*請負報酬の請求等に関するルールの変更
*債権譲渡の関するルールの緩和
*定型約款に関するルールーの新設
今回は、個人保証の制限について 記載させていただきます。
改正民法では、個人保証に対し新たに一定の制約を求めています。
*経営にタッチしない第三者(個人)が保証人となる場合、一定の要件を義務づける
規定の新設
具体的には、保証人になろうとする者(個人)が、保証契約の締結前1ヶ月以内に、公正証書で「保証債務を履行する意思」を表示していなければ、保証契約は原則として無効とされます。
ただし、上記の制限から除外される下記の者等に関する規定もあわせて設けられています。
・融資をうける法人の経営参画者
・融資を受ける法人の議決権総数の過半数を有する者(いわゆるオーナー)
・融資を受ける者が個人事業者の場合、共同経営者及び事業者とともに事業に従事する配偶者
*保証人保護
個人保証を依頼する際に その相手に対し下記の情報提供を義務づける規定の新設
・財産及び収支の状況
・今回受ける融資以外に負担している債務がある場合は、その額及び履行状況
・今回受ける融資の担保として提供した(又は提供する予定の)財産があるときは、その旨及びその内容
上記の事項に関する情報提供を怠り、あるいは事実と異なる情報提供を行ったことにより、保証人が誤認して保証契約を締結した場合には、債権者がその事実を知っていた、あるいは知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。
*相続税の申告に与える影響
相続税の課税標準を確定させる場合には、債務は原則として、債務控除が可能となっており、保証債務はその履行が確実な場合についてのみ、控除が可能となります。
上記民法改正によって、保証債務の履行について争いがあるような場合については、債務控除の内容に影響があるものと考えます。